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伝統工芸*堺手織り緞通  保存したい気持ちを思いに

伝統工芸*堺手織り緞通  保存したい気持ちを思いに_d0169303_15491684.jpg
父が亡くなって半年。
まだなのか?もうなのか? しばらく電話で話していないくらいだけど、ふいに寂しくなる。
でも、そんな寂しさを言ってもられなくて、色々な手続きや処分を本格的にしなければならないようになってきました。

この写真は、大阪府堺市の伝統工芸品で『堺手織り緞通』という織物。私が織ったものです。
国画会という展覧会にも入選し、東京・名古屋・大阪の美術館で展示していただきました。

料理を生業としている私が、なぜこれを織ったのか?
それは、母が、堺手織り緞通の後継者で、大阪府の伝統工芸士でもあったからです。
その母も、2000年に亡くなりました。堺には保存協会もありますが、このすばらしい伝統はいつか誰かの手で母がしていたように芸術のようになってほしいと思い、
その技術を伝承するために、慣れない織物やホームスパンなど習って草木染めも勉強して、作り上げた作品です。
母は、色々な趣味をしながら自分のやりたいなにかを探していました。出版社で働いていましたが、なにか自分にしかないものを見つけたかったのかもしれません。
その当時、堺緞通の後継者は「辻林さん」という方お一人で、弟子も取らないという人だったのに、母は半年間毎週通って弟子入りを懇願し承諾してもらいました。
敷きものだと売れない時代だからと、タペストリーにし、染料で染めたものでなく草木染めでというのが母のやり方です。

現在も堺の主要な場所で何点か展示してありますが、
母の作品のひとつ「曽根崎心中」です。
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これは、大阪の人形浄瑠璃「文楽」の演目で有名でもあるので、情念のようなものを伝えたかったようです。
この作品を作るにあたり、大阪国立文楽劇場の床山さんにアポを取り、実際の人形を見せていただき、動きなどのお話も伺いました。

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私も織るのを手伝った作品。京都の新匠工芸展に入選した作品。

これらの織物を織るには、大きな緞通の機械が必要です。
その機械をどうするか?これが今の課題。実際に私も織れるので作品を作ればいいのですが、それほどの時間もない。もちろん置く場所の問題。
お譲りするにも、手配がかなり大変だと思いますし、置いているだけでは飾りにもなりません。
日本三大緞通は、鍋島、赤穂、堺とこの3つだけ。鍋島だけが、お茶席などにも利用され経営として成り立っているだけです。

料理も新しいものもいいですが、古典料理も美味しいように、
こうした伝統は日本中たくさんあって、同様衰退しつつものもあります。伝統を残していくというのも、現代に生きる私たちの使命であるとも思います。




by la-table-en-plus | 2018-07-28 15:54 | ごあいさつ ご知らせ | Comments(0)

料理家 尾関由美。イタリア料理とフレンチ惣菜の店カンティーヌ・ドゥー・デリス オーナー兼ソムリエ。料理教室ラ・ターブル・アン・プリュス主宰。お教室のこと 自分らしい生活スタイルや食への思い


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